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プレイヤード版ヴェルヌ?

ガリマールのプレイヤード版公式ページにある読者からの質問コーナーで、ヴェルヌはプレイヤード版に入らないのか、という問いに対して、「準備中」という簡潔な回答が。これまでヴェルヌは拒否されてきた感じなので、いまだに半信半疑。編者の顔ぶれなどがわかれば多少信憑性も出るんですが……。今のところネット上のヴェルヌ・ファンの世界でもほとんど話題になっていないようです。

http://www.la-pleiade.fr/La-vie-de-la-Pleiade/Les-questions-des-lecteurs#0114

読書会の準備2 ある会員の活動11

国会図書館へ行ってきた。

私市先生の『ネモ船長と青ひげ』や、M・グリーン『ロビンソン・クルーソー物語』(岩尾龍太郎訳)の「神秘の島」を論じた部分で言及されている、ピエール・マシュレー『文学生産の理論』の邦訳を確認しにいったのだ。

ピエール・マシュレーと言う人を詳しく知っているわけではないが、アルチュセール『資本論を読む』の共著者であり、最近『文学生産の哲学』という本が訳されている。マルクス主義理論の人らしいが、『文学生産の理論』には長文の『神秘の島』論が収録されているというので、ぜひ読みたいと思ったのだ。

もっとも、最初から半信半疑で行ったのである。翻訳があるならもっと早く分かっているはずだし(synaさんのJules Verne Pageにも紹介がない)、国会図書館のホームページで検索すると196ページしかない。抄訳に違いない、と踏んでいたのだが、借り受けてみればやはり総論編の第一部のみを訳したもので、『神秘の島』論は訳されていなかった。

しかし、訳された部分にもいくらか『神秘の島』へ言及があるのと、部分的には興味深い指摘も多かったので、できるだけ複写することにした。

ご存じの方も多いと思うが、国会図書館は借り出しはできない。著作権法の範囲内で複写を有料で請け負ってくれる。90ページほど複写してもらった。

帰りがけに区立図書館へ行き、上記M・グリーンと岩尾氏『ロビンソンの砦』、高橋大輔という人の本を二冊借りる。グリーンと岩尾氏の2冊は前にも読んだのだが借り直し、高橋氏はロビンソンのモデルであるセルカークの足跡を追い続けている人である。岩尾氏がセルカークは4年で野生化したと書いていたので、確認したかったのだ。

確かに、セルカークは見つかった時には言葉がほとんど話せず、裸足で山羊を追いかけて素手で捕まえていたと言う。4年でそうなのだから、12年タボル島にいたエアトンが野獣化していたのは故なきことでもないようだ。

司会からメールされてきた読書会のテーマについて自分の考えを簡単にまとめ、個人的な疑問、気付いた点をまとめておく。英訳版のブッチャーの解説を辞書を引き引き読んでみたが、やはり疑問が残った。

読書会のテーマについてここに書いてもいいのだが、もしや『神秘の島』を最後まで読んでない人がいたらどうしようかと思ってやめておく。皆さん読みましょう。

河出文庫から出た新訳『ロビンソン・クルーソー』にもざっと目を通す。若い読者のために意識的に選択したと解説に書かれている「ぼく」という一人称にどうしてもなじめない。70歳近くなった人物の回想記という設定なのだから、いくらなんでもその歳で永遠の少年キャラではないのでは? と思う。

そもそも、若い読者のために「ぼく」にしなければいけないなら、漱石の猫だって「ぼく」にしなければならない。

まあ、でもそれは私がもう「若い読者」ではないということなのだろう。

石橋さんがメーリングリストで触れていたのだが、解説は充実している。関連地図など資料もついていて、読んだことがないならまずこの河出文庫版がお勧めであることは間違いない。

この間も、ディケンズ『大いなる遺産』の新訳で楽しませてもらったし、河出文庫の古典新訳は続けてほしいものだ。

そんなこんなで既訳をじっくり読み直す時間がなくなってしまった。はたしてどうなることやら。

未来小説?

またまた細かい話を……。雑誌『水声通信』が休刊ということで、はなはだ残念に思いつつ、改めてヴェルヌ特集号をちょっと見直していて、「フリッツ・フラック」の翻訳の、最後まで氷解しなかった疑問箇所に目が留まり、あれ、これって……と思ったわけです。

「その時代にはまだ瀉血が行われていた。そして、現在と同様、医者たちは瀉血によって、まだ生きのびるはずの患者を卒中から救っていた」

ここ、ゲラでも編集者から論理的におかしいのでは、と指摘を受けて、しかし、原文通りなのでそのままにしたのですが、そう、これ『ロビュール』と同じように考えればすっきりします。つまり、「その時代」って未来じゃないでしょうか……この話、おとぎ話風なのでてっきり遠い過去としか思わないのですが、そのことによって「未来を過去形で書く」背理が拡大されているのではないか……。というか、そうとるしかちょっとほかに解釈のしようがない気がします。みなさんはどう思われますか、未来小説としての「フリッツ・フラック」!

9月11日の読書会は一般の方でも参加可能です。1941年ソ連版の原作に忠実な映画『神秘の島』など、ちょっと珍しいものもお見せできます(といっても、まあネットで入手可能なんですが)。

またまたテレビ番組から…

 毎週楽しんで観ている「奇跡体験アンビリーバブル」。
本日のメインは「200年前に南太平洋の島で起きた殺戮!!」の話だった。バウンティ号の反乱と聞いて、どこかで聞いたことがあるな~と思っていた。

 有名なところでは同タイトルの映画があるらしいことは知っていた。さらに気にかかり、記憶の奥からジュール・ヴェルヌが出てきた。確か、彼の作品リストにあったような…。ヴェルヌともう一人名前は思い出せないが、二人で書いた本。
 かつてNTT出版から出ていた「ラ・ペルーズの冒険」のようなノンフィクションなのか、それとも小説なのか詳しく分からないけれど、一七〇〇年後半の事件。ヴェルヌなら関心を持ちそうな実話に興味津々でした。

 最後まで生き残った男が罪の意識から島を楽園にしようとしたことから、イギリスから恩赦を受ける。なんとなく「神秘の島」に出てくるエアトンぽい。
もしかしたら、彼がモデルなのかと思ったぐらいでした。

 synaさん、あるいはishibashiさん、この番組をご覧になられましたか?もしもご覧になられていたら、どんな感想をお持ちになられましたのか、ぜひともお聞きしたいです。

「バウンティ号の反乱」に知的好奇心を掻き立てられて、映画も見てみたい。また、ヴェルヌ作品でも読んでみたい。翻訳されたらいいな~と熱い思いを抱いています。

読書会の準備  ある会員の活動10

あっという間に9月である。

月に1回は投稿しようと思っているのだが、8月はとんでしまった。

本業が割に忙しかったこともあるのだが、実はまたしても不遜な思いにとりつかれてひそかな活動を続けていたのである(いや、別にたいしたことではないですが)。

今回は、特集への投稿と自由投稿を両方、それもどちらもしっかり書く、という目標を立てた。

前号は、特集用が22ページと長かった。自由投稿は6ページと短かったが、致命的なミスを犯し悔いが残った。

今回はどちらも15ページ以内に収められないか、と考えている。

もちろん、むりやり何でもいいから投稿するということではなくて、書きたいことができたから書くのだが、よりコンパクトに、ぜい肉をそいだ投稿にしたい。もちろん、前回のようなミスは許されない。

そんなわけで、8月の休日は汗をふきふき原稿を書いていた。最初は特集用から始めたのだが、読書会の連絡が来て方針を変えた。

すでにホームページで告知されているが、今回は最初に石橋会長が『神秘の島』の読みどころや成立の背景を解説するという。これを聞いてから書いた方がいいに決まっている。

そこで、自由投稿を先に書いてしまおうと途中から切り替えたのだが、残念ながらまだ仕上がらない。

そうしているうちに、9月になってしまったわけだ。

ここでまた舵を切り直し、読書会の準備のため『神秘の島』に戻らなければならない(当たり前だが、自由投稿は『神秘の島』がテーマではない)。

最初に準備した資料を整理し直す。

1.まず、邦訳三種。大友徳明訳(偕成社文庫)、手塚伸一訳(集英社文庫)、清水正和訳(福音館)。清水訳は持ち運びできない。なぜ福音館文庫におちないのだ。

2.原書。リーブル・ド・ポッシュの赤版。もちろん読めない。邦訳で疑問に思った部分の原文を確認するため。

3.英訳。シドニー・クラヴィッツ訳、序文・注記ウィリアム・ブッチャー。もう少しちゃんと読むつもりだったが上記のような事情で時間がない。

4.ロラン・バルト『新=批評的エッセー』。かの「どこから始めるべきか?」を収録。

5.“ROLAN BARTHES Œuvres complètes Ⅳ”。上記の原文を収録。読めないって言ってるのに。

6.私市先生の『ネモ船長と青ひげ』。必読の三部作論「ヴェルヌと永劫の旅人たち」を収録。

実はもうひとつ確認したい資料があるのだが、まだ入手していない。

驚くべきことに、2.3.はAmazon日本版で購入できてしまった。(ヴェルヌ書店を通しましょう)。5.は最寄りの大型書店に並んでいた。あそこのバルト全集をあらかた買ったのは私です。

何の苦労もなくこれだけ資料が集まり、なかなか恵まれた状況であった。

4.5.はともかく、1.2.3.6.をこれからの限られた時間のなかで読み直していく(2.3.は眺め直す)ことになる。

うーむ。ほんとはせっかく買った「総天然色ウルトラQ」も観たいのだが。

(この総天然色版については幕田さんも執筆の「Pen」を読みましょう)

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