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メリエス『月世界旅行』彩色版

ジョルジュ・メリエスが1902年に制作した映画『月世界旅行(Le Voyage dans la Lune)』は無声映画の傑作のひとつであり、またヴェルヌ作品を(部分的にでも)原作とした映画の嚆矢でもあります。この映画の彩色版(フィルムに直接手彩色を施したもの)は長い間失われたと思われていましたが、1993年にバルセロナでフィルムが発見され、20年近くに及ぶ修復作業の末、昨年5月に開かれた第64回カンヌ国際映画祭で上映されるに至りました。

この上映に当たっては、フランスのエレクトロニカ・バンド、Air(エール)によって新たにサウンドトラックが制作されました。彼らはDaft Punkと比較して紹介されることも多い人気ミュージシャンで、映画『ヴァージン・スーサイズ』のサウンドトラックを手がけたことでも知られます。今回彼らは『月世界旅行』のサウンドトラックだけでなく、この映画に想を得た11曲入りのコンセプト・アルバムも制作しており、来月7日にそのCDがリリースされます。

このCDには、なんと初回限定特典として彩色版『月世界旅行』のDVDが付属するとのこと。いち早くこの貴重な映像を手に入れたければ、この機会を利用しない手はないでしょう。アルバムのタイトルはずばり『Le Voyage dans la Lune』。日本盤の発売日は2月8日(!)ですが、DVD再生に問題がなければアメリカ盤やヨーロッパ盤を買ったほうが安いかもしれません。いずれにしても限定盤なのでお早めに。

100年前の色が蘇った『月世界旅行』は、カンヌ映画祭を皮切りに各国の映画祭などで上映されており、近い将来日本でも映画館で観ることができるかもしれません。奇しくも昨年はメリエス生誕150周年。これを機会にちょっとしたメリエス・ブームが起こったら面白いのですが。

参考サイト:

カンヌ映画祭公式サイトより
http://www.festival-cannes.fr/fr/theDailyArticle/58490.html

フィルム修復に関わった団体のひとつ
http://www.technicolorfilmfoundation.org/

フィルム修復に関わった別の団体のYouTubeチャンネル
http://www.youtube.com/playlist?list=PL823B830FBCF59A54

エール (AIR) - EMI Music Japan
http://www.emimusic.jp/artist/airair/

DVD付きヨーロッパ盤
http://tower.jp/item/3024116/
http://www.hmv.co.jp/product/detail/4318480

DVD付きアメリカ盤
http://www.amazon.co.jp/dp/B0069K3836/

DVD付き日本盤
http://www.amazon.co.jp/dp/B0067MWU3U/
http://tower.jp/item/3017099/
http://www.hmv.co.jp/product/detail/4249116

二年間の休暇

 年間予約購読している(岩波書店)「図書」1月号から、近刊書情報のなかに「二年間の休暇」上下(私市保彦 訳)2月16日刊行とありました。

  確か以前、記憶違いでなければ、掲示板上で(光文社古典新訳文庫)で刊行予定と紹介されていたようですね。なかなか刊行される様子がないので気になっていました。どうやら、(岩波少年文庫)から刊行されるらしい。となると、同文庫から出ている「海底二万里」上下(私市保彦 訳)と肩を並べることになる。

 同じ作品でもそれぞれの翻訳で楽しめる。シャーロック・ホームズもそうですけど、日本ならではの贅沢なひとときですね。さっそく、購入予定にいれています。

 それから、お尋ねしたいことがあります。刊行予定となっている「蒸気で動く家」「月世界旅行2部作」など、どちらが先になりそうですか?気になってやきもきしています。

ミハイル・ストロゴフ

(パシフィカ)「皇帝の密使 ミハイル・ストロゴフ」

 AMAZON.co.jp の古本で入手しました。いままで古本も扱っているなんて知らなかったけど、金額ごとに本の状態を記しているのが好感が持てた、あとは届いてのお楽しみという期待感がなんともいえませんでした。

 金額は6000円。なんとか手が出せる値段でした。段ボールの封を切ってみると、ほとんど新品に近いので嬉しかったものがありました。大感激でした!

 しかし、パシフィカ刊の他の作品は1万以上という高額でちょっと手が出しづらい…。

 以前に掲示板でも話題にしていましたが、この「ミハイル・ストロゴフ」は90年代後半だったかNHK-FMのラジオドラマで1回目から全話カセットテープに保存して聴きまくった思い出がある、パワフルな面白さを満喫した作品でした。

 いまでいえば、インディ・ジョーンズ等のアドベンチャー映画のルーツでしょうね。大まかなストーリーが頭に残っているので、じっくりと味わって読もうと思っています。

賀正

遅くなりましたが、今年もジュール・ヴェルヌ研究会をよろしくお願いいたします。

さて、2012年初投稿にふさわしいおめでたい話題がフランスから届きました。プレイヤード版ヴェルヌの詳細(まだ編者は不明ながら)が判明。この五月に二巻本で、『グラント』『海底』『神秘』の三部作と『氷のスフィンクス』を収録するそうです。エッツェル版の挿絵ももちろん収録。以下の「エクスプレス」の短い記事をご参照ください。

Jules Verne fera son entrée dans la bibliothèque de la Pléiade en mai prochain sous la forme d'un coffret de deux volumes regroupant Vingt Mille Lieues sous les mers, L'Ile mystérieuse, Les Enfants du capitaine Grant et Le Sphinx des glaces, agrémentés de plus de 500 illustrations des fameuses éditions Hetzel. Nul doute que cette parution relancera l'éternel débat : Jules Verne était-il un grand écrivain ?

http://www.lexpress.fr/culture/livre/le-tour-de-verne-en-deux-pleiade_1069988.html

この記事の締めの文句は、「この出版によって永遠の議論にふたたび火がつくことだろう――ジュール・ヴェルヌははたして大作家だったのか?」。まあなんというか、こういう問いがこれほど繰り返されるのはヴェルヌくらいなので、これがヴェルヌのステータスということでいいんじゃないかと思うんですが。というか、別に大作家だろうがなかろうがどうでもいいというのが本音ではあります。個人的には今度こそちゃんと本文校訂してくれるんだろうな、ということだけが気になりますけど、期待薄でしょうねえ。

それから、ガリカで『八十日間世界一周』の最終稿が閲覧できるようになったようです。まだ確認していませんが、こちらの方が個人的には大ニュース。早く『海底』の草稿も公開してほしい。校訂版はそれからです。

忘年会   ある会員の活動15

今年もあと27時間を切った。

脱稿で今年は終了、と思いきや忘年会があったのである。

せっかく世界中を舞台とするヴェルヌなのだから、普通の料理屋でないところで、と誰かが言いだしたのが発端だった。

六本木のオーストラリア料理の店でやることになった。

そこでカンガルーを食べよう、ということになったのである。

仕事が終わってから(私の勤務先は元日以外は営業している)行くと、始まるところであった。場所がやや分かりづらかったのか、あとから何人か来て、19時過ぎから開始。

問題のカンガルーだが、クロコダイルとダチョウもあった。全部食べてみたが、結果としては、特に癖があるわけではない・どこかで食べたような・普通においしく食べられる肉であった。

もっと野趣あふれる味や珍体験を期待する人には残念なことであるが、シェフがいろいろ工夫しているのかもしれないし、大体東京のど真ん中でイカモノ食いになるわけもないのである。

いろんな人といろんな話をして面白かったが、詳細ははぶく。

ただ、普段はどういう本を読んでいるのか、という質問には何とも答えづらかった。『悪霊』は無事読み終わったが(感想については簡単には言えないのでここには書かない。一読をお勧めする)、その後何の気なしに読み始めたのは『ドクトルまんぼう青春記』であるから、脈絡の説明をしようがない。

まあ、個人的にはグランヴィルの豆本をついに手に入れた(しかもおまけつき)ので満足であった。

22時過ぎまで楽しく飲み食いして、そうして本当に今年の活動は終了したのであった。

さて来年はどんな年になるだろうか。皆様よいお年を。

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