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活動再開?   ある会員の活動20

ゴールデンウィークが終わってもなんやかやといつまでも忙しい。
しかし、本業にかまけて会員活動を怠るわけにはいかない。

会誌は未着だが、SFセミナー、文学フリマでも好評だったようだ。5月20日の休みも確保したし、次号に向けて第一歩を踏み出すべき時期が来た。

とりあえず、というとなんだが、石橋さんの私家版『地球から月へ』『月を廻って』を読み返す。文学フリマで会誌と一緒に販売してたらしいが・・・

で、思いついて池井戸潤『下町ロケット』を読んでみた。
下町のおじさんたちがロケットを打上げる、「まいど1号」の拡張版みたいな話かと思ったら、全然違った。部品(バルブ)の特許をめぐって大企業と堂々渡り合う中小企業の話。

その根底に、主人公の社長(元ロケット開発研究者)のロケットへの情熱があって、社員たちも次第に感化され、という展開。

まあ、さすが直木賞受賞作でそこそこリーダブル。2時間半程度で読めたし、よろしければ皆さんも。文庫になってからでいいとは思うが。

しかし、ガンクラブの連中とはあまり関係なかった。それでも、世界初のプロジェクト小説、という視点で『地球から月へ』を読むことは、できなくはない。

この線でいくか? もう少し考えてみる。

システム開発という視点では、『NASAを築いた人と技術』(佐藤靖)といううってつけの本があったが、まだ読み始めていない。

まあ、こうして少しずつ始めていくのだ。

以下雑感。

・電車内の暇つぶしのためにジーン・ウルフ『新しい太陽の書』を読み始める(実はまだ読んだことがなかったのだ)。誰かがSFマガジンでプルーストと比較しようとしたらしいが、全く無茶だということがよくわかった。
うーん、史上最高のSFファンタジー? まあ、まだ第一巻なので。

・「ユリイカ」5月号は「テレビドラマの脚本家たち」という特殊な特集。
宇野なんとかとかが鼎談したりしているのだが、読んでて気がついたのは、このひとたち、若いのだ。
『家政婦のミタ』の脚本家、遊川和彦が始めて連続を手がけた『オヨビでない奴!』(植木等と所ジョージが主人公の祖父・父役で出てくるという学園コメディー)とか、リアルタイムでは観てないのだな。遊川和彦というと『女王の教室』あたりかららしい。私の感覚では相当最近の作品なのだが。
『踊る大捜査線』の君塚良一は、私の感覚だと明石家さんまのコメディーシリーズ『心はロンリー、気持ちは・・・』の作家だし。こっちが古すぎるのか。
編集後記をみると、編集者も1990年に小学校2年だったそうだ。こっちは就職しとるよ。

しかし、『カーネーション』の渡辺あや、『平清盛』の藤本有紀あたりの二次創作的、あるいはメタフィクショナルな手法を論じるなら、やはり市川森一には触れてほしかった。

ちなみに、『平清盛』に元モー娘。の高橋愛が出るのにネットで賛否出ているようだが、この人は藤本脚本の『Q.E.D』に主演している。成海璃子は『さくやこの花』の主演だし、藤木直人は『ギャルサー』主演だし、和久井映見は『ちりとてちん』に出ていた。
キャスティングを脚本家ゆかりの人ばかりで固めているのが、むしろ不安材料なのだけれども・・・

まあいいか。こんなことばっかり書いて、どこが忙しいのか(笑)。

最近気になっていること

 この頃、本の歴史に興味を持つようになり、幾つか本を買いました。
 私がもっとも気になっているのは、「海底二万里」に出てくる四つ折り版と呼ばれる本のことです。あいにく、この版についての情報はまだ得られない。

 木版画を見ても、どれがどれなのかてんで分からない。ishibashiさん、もしご存知でしたら、教えていただけませんか?もしも、詳細に説明している本がありましたら…ぜひこちらの情報もお願いします。
 ただの知的好奇心っていうもの、ただ、それだけなんですけれど。

幻の島々

Jules Verne Pageの掲示板以来の読者の方々は、インターネットサイト「幻想諸島航海記」に親しんでおられると思うので、これまた今更ではありますが、近野不二男『北極奇談 幻島の謎』や、前述サイトの管理人である長谷川亮一氏による『地図から消えた島々』を取り寄せて繙読していたところ、前者でヴェルヌの『毛皮の国』がなぜか『コケの国』として紹介されており、後者に次の記述を発見。

「なお1801年10月、スペインのガレオン船エル・レイ・カルロス号のクレスポ船長は、北緯32度46分・東経170度10分の地点(犬吠崎の東方約2700キロ)で島を“目撃”した、と報告した。全くの偶然なのだが、このころの海図には、この近くにリカ・デ・プラタ島が描かれていた。そのため、この島はリカ・デ・プラタ島そのものと見なされ、「クレスポ島」という別名が与えられることになった。ジュール・ヴェルヌの小説『海底二万里』には、潜水艦ノーチラス号がこの島に立ち寄る場面がある」

この「リカ・デ・プラタ島」とは、「銀に富む」という意味で、「黄金に富む」という意味の「ロカ・デ・プラタ島」とセットになった群島で、日本の遥か東方にあって、金銀を豊かに産し、「色白で豊かな住民が住む」といわれた、十六世紀後半以来の伝説の島です。『海底二万里』にもほぼ同様の記述がありますが、ほぼデュモン・デュルヴィルの『世界周航記』の引用です。それが元々は海図に書かれていた想像上の島(そして、当然ながら存在しない島)だったとは。

会誌完成

本日、刷り上がった会誌が届きました。会員の皆様のお手元にお届けするまでにはまだ少しお待ちいただかなければなりませんが、ひとまずご報告。紙質が上がったので少し厚くなっておりますが、紙面も心なしか物理的に読みやすくなった気がします。また色インクを使った表紙もすっきりしていながら見栄えがします。いつものごとく早速若干の誤植を発見しつつ、これも出来上がりの愉しみのひとつともはやいえましょうか。いずれにせよ、お楽しみに。

エーコの『フーコーの振り子』、ずっと読まねばと思っていたのですが、必要が生じてやっと読みました。出だしはどうかと思いましたが、折り返しに近づいて俄然おもしろくなって最後まで一息に。ヴェルヌが重要な下敷きの一つになっているわけですが、クライマックス・シーンはヴェルヌ化したユゴーという感じでしょうかね(最終的には両者に及ばない感じがするのは致し方ない)。テンプル騎士団の話なので、ラミの与太話とかがエピグラフに引用されますが(ほかに引用される文献と実にマッチしています)、『黒いインド』の主人公と『ジャンガダ』の主人公を混同しているのは、作品の都合というか、まあ全体が壮大なギャグとはいえ、ちょっとどうかと。

ユゴーといえば、この一年近く個人的にユゴー強化キャンペーン中で、今は『笑う男』の朗読を聴いているところですが(いよいよ終盤)、この小説、最近の翻訳がないんですね。実に驚きです。なんでも今年一月からフランスでは映画版の撮影が(ドゥパルデュ主演で)始まっている由。そもそも日本で公開されるか不明ですが、これがなにかのきっかけになることを望むこともむなしい気がする昨今の出版情勢ではあります。

研究会情報

まず会誌第6号ですが、5月5日に完成予定となりました。翌日の文学フリマでお披露目ということになります。お時間に余裕のある方は、ぜひブースまでお越しください。2011年度会員の方には1部その場でお渡しできます。

そして3月に幻と終わったウィリアム・ブッチャー講演会、5月20日(日)に江東区文化センター第一会議室(最寄駅は東陽町)にて1時から開催です。質疑込みで2時間ほどを予定しております。ブッチャー氏が長年携わっているヴェルヌの草稿研究についてお話しいただく予定です。なかなかない機会ですので、ぜひお越しください。

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