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最近気になっていること

 この頃、本の歴史に興味を持つようになり、幾つか本を買いました。
 私がもっとも気になっているのは、「海底二万里」に出てくる四つ折り版と呼ばれる本のことです。あいにく、この版についての情報はまだ得られない。

 木版画を見ても、どれがどれなのかてんで分からない。ishibashiさん、もしご存知でしたら、教えていただけませんか?もしも、詳細に説明している本がありましたら…ぜひこちらの情報もお願いします。
 ただの知的好奇心っていうもの、ただ、それだけなんですけれど。

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コメント一覧

ishibashi 2012年05月04日(金)18時04分 編集・削除

それは本の大きさのことなのですよ。ですから、四つ折り「版」ではなく、「判」が正確です。印刷は、大きな紙(これを全紙といいます)一枚に数ページ同時に行うのですが、その後、何度紙を折るかによってページの数も決まります。二つ折り判(フォリオ)が真ん中から二つに折る方式でその場合、全四ページになりますよね。四つ折りの場合は、それをさらにもう一度折るので全八ページになります。ヴェルヌの挿絵版のことを八折り判といいますが、これは3回折って全16ページになります。ヴェルヌの挿絵なし通常単行本は十八折り判とも十六折り判ともいわれることがあって方式がちょっと違います。いずれにせよ、~折り判は本の大きさで「~」に入る数字が大きくなればなるほど小さいサイズになるわけです。これは基本中の基本なので、どの概説書にも説明があると思いますよ。ちなみに、メルヴィルの『白鯨』の鯨学の章をご覧になれば、メルヴィルが鯨を大きさで分類し、その際に「~折り判」を使っていますから、おもしろいですよ。

Cyrus Harding42 2012年05月04日(金)22時56分 編集・削除

つまり、全紙に活字を印刷して折り畳んでゆく。何回折り畳んだかによって本のページ数が決まると考えてよろしいのでしょうか?

それから、ふと連鎖反応で思い浮かんだことがあります。昔の本はペーパーナイフで1ページずつ切り開いてから読む。そういう本があったらしい。もしかしたら、こういうのが四つ折り判の本のなごりかな、と思い浮かびました。違っていたら訂正してください。

最後に、四つ折り判と言われている本は、いまでいえば本の大きさはどれほどの大きさののでしょうか?A4サイズでしょうか?B4、それとも、四六判でしょうか?

ishibashi 2012年05月05日(土)03時00分 編集・削除

そうです。折り畳んだものを「折り丁」といいます。これを積み重ねて本にするわけです。そして、頁の端を裁断するわけですね。おっしゃるように、裁断しないままの本も昔は結構ありましたから(洋書だと最近もたまにあります)、この場合はペーパーナイフで切らないといけないわけです。判の大きさは元々の全紙の大きさによってかなりまちまちなので、下のサイトはあくまで目安ですが、四つ折り判(クォート)はかなり大きいです。リーデンブロック教授の著書なんか、たしかフォリオじゃなかったでしたっけ。こちらにいらっしゃる黒内さんが製本を勉強しておられるので本当は僕よりも回答者としては的確なのですが。

http://www.owari.ne.jp/~tmiwa/topic.html

kurouchi 2012年05月05日(土)03時45分 編集・削除

http://www.ndl.go.jp/incunabula/glossary/glo_17.html
「典型的な4種類の全紙」の各サイズが紹介されていますが、これは15世紀の話でしょうか。何にせよクォートより小さいフォリオもあり得るわけだ。分かりませんなあ。

kurouchi 2012年05月05日(土)05時11分 編集・削除

白鯨を読み返してみました。メルヴィルは大小さまざまな鯨たちをフォリオ(二つ折)、オクターヴォ(八つ折)、デュオデシモ(十二折)の3種類に分類し、クォート(四つ折)という分類を使わなかった理由として「フォリオと縦横比が異なるから」だなどと楽しい屁理屈を述べているのですが、よくよく考えてみれば十二折にも言えることです。十八折でないと……。でもその十二折に分類されているのが所謂イルカなので、あえてそこだけフォリオやオクターヴォとは縦横比が違う判型を挙げてるのでしょう。芸コマですなあ。

紙目の問題もからんでくるので二つ折や八つ折に使われる紙をそのまま四つ折本に流用するのは無理があるかも。4つ折は大きいというだけでなく特筆するに値する判型なんじゃないのかな。エッツェルの挿絵版と挿絵なし通常版を同じサイズの全紙で刷っているのであれば挿絵なし通常版は16折ではなく18折のような気がします。

kurouchi 2012年05月05日(土)05時26分 編集・削除

訂正。挿絵なし通常版は18折ではなく16折。

kurouchi 2012年05月05日(土)05時36分 編集・削除

いや違いますね。書いててややこしくなってきましたが、上で書いたように8折と揃うのが18折で、そして4折と揃うのが16折です。

ishibashi 2012年05月05日(土)13時40分 編集・削除

ヴェルヌもエッツェルも通常単行本を十八折り判といっていて、ヴェルヌ研究家や収集家もそう呼んでいますが、エッツェルの息子や最近の古本屋の一部は十六折り判と呼ぶことがあって、ヴェルヌの通常単行本は十九世紀の一番標準的な単行本のサイズでシャルパンティエ判と呼ばれますが、十六折り判と呼ばれることも多いのです(それどこころか十二折り判と呼ばれているのを見たこともある気がしますが、これは定かではない)。その辺の事情について説明をどこかで読んだ気もしますが、よく覚えていないし、そもそもあまり理解できなかった気も。

Cyrus Harding42 2012年05月05日(土)22時40分 編集・削除

ishibashiさんが紹介されたURL先を見て、大よその寸法が分かりました。B5に近い大きさ。書籍でいえば、ライトマップルの道路地図800円。横1センチ縦約4.5センチ縮めたサイズだと分かりました。

それから、kurouchiさんが紹介されたURL先を拝見しますと、同じ四つ折り判(クォート)でも4種類の大きさがありますね。これは、私の推測ですが、廉価版と普及版、ハードカバー版そして愛蔵版の大きさでしょうか?

ishibashi 2012年05月07日(月)22時31分 編集・削除

大きさが違うのは元々の全紙の大きさが違うせいですが、その使い分けは出版社によると思うので一概にはいえないかと。