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会誌完成

本日、刷り上がった会誌が届きました。会員の皆様のお手元にお届けするまでにはまだ少しお待ちいただかなければなりませんが、ひとまずご報告。紙質が上がったので少し厚くなっておりますが、紙面も心なしか物理的に読みやすくなった気がします。また色インクを使った表紙もすっきりしていながら見栄えがします。いつものごとく早速若干の誤植を発見しつつ、これも出来上がりの愉しみのひとつともはやいえましょうか。いずれにせよ、お楽しみに。

エーコの『フーコーの振り子』、ずっと読まねばと思っていたのですが、必要が生じてやっと読みました。出だしはどうかと思いましたが、折り返しに近づいて俄然おもしろくなって最後まで一息に。ヴェルヌが重要な下敷きの一つになっているわけですが、クライマックス・シーンはヴェルヌ化したユゴーという感じでしょうかね(最終的には両者に及ばない感じがするのは致し方ない)。テンプル騎士団の話なので、ラミの与太話とかがエピグラフに引用されますが(ほかに引用される文献と実にマッチしています)、『黒いインド』の主人公と『ジャンガダ』の主人公を混同しているのは、作品の都合というか、まあ全体が壮大なギャグとはいえ、ちょっとどうかと。

ユゴーといえば、この一年近く個人的にユゴー強化キャンペーン中で、今は『笑う男』の朗読を聴いているところですが(いよいよ終盤)、この小説、最近の翻訳がないんですね。実に驚きです。なんでも今年一月からフランスでは映画版の撮影が(ドゥパルデュ主演で)始まっている由。そもそも日本で公開されるか不明ですが、これがなにかのきっかけになることを望むこともむなしい気がする昨今の出版情勢ではあります。

コメント一覧

ishibashi 2012年05月01日(火)02時18分 編集・削除

第6号の目次が研究会サイトにアップされました。ご覧ください。

Cyrus Harding42 2012年05月01日(火)22時18分 編集・削除

「笑う男」最近もっとも読みたいと願ってやまない作品です。数年前に「ヴィクトル・ユゴー文学館」を1年がかりで購入した後でした。(本の友社)から刊行されていた「ユゴー全集」の存在を知って悔しい思いをしました。

こちらの全集には「ライン川」「クロード・グー」「笑う男」等、すべて収録されていたらしい。最近、インターネットで検索してみましたら、過去に映像化されていたらしく、口の大きな俳優がヒロイン?を抱いている写真を見かけたことがありました。

さらに、アメリカン・コミック「バットマン」敵役ジョーカーの設定に影響を与えたのが、ユゴーの「笑う男」の主人公だとか。それを知ってから、ますます読みたい衝動に駆られています。

ユゴーの「レ・ミゼラブル」は私を読書中毒にしたばかりか、学生時代に吃音差別やいじめにあっていた後遺症「人間不信」から抜け出すきっかけになった小説なので、特別な思いをいだいている訳なのです。

読書乱読体験から、自分が受けた「差別」を客観的に見られるようになってからというのも、冷めた目で真剣に差別語を考えられるようになったのも、この頃だったのです。

ユゴーの話になるとさらに熱くなるので、では、この辺で終わりにします。

ishibashi 2012年05月02日(水)18時47分 編集・削除

ああ、なるほど、幼少時に受けた「手術」で永遠の笑い顔になっているところは一緒ですね。ただ、それ以外はまるで正反対で、ユゴーの「笑う男」は途方もない善人ですけどね。まあしかし例によって圧倒的スケールでこれでもかと畳み掛ける圧巻の導入がほぼ全体の半分で、そこからようやく話が始まるという感じでおもしろいですが、ユゴーの小説を読んでいて感じるのは、これはできのいいハリウッド映画を言葉でやっているんだなあ、ということです。正直、フランス映画ではうまく映画にならないんじゃないでしょうかねえ。しかし、本の友社の全集って大正時代に出たもので(最近出たのはそのまま復刻したもの)、見るからに抄訳ですから、買わなくてよかったんじゃないでしょうか。ユゴーの邦訳の状況ってヴェルヌよりもひどいんじゃないかという気がしてきました。『レ・ミゼラブル』だけですよね、何度かちゃんと訳されている作品って。ユゴーの文章は小説でも詩みたいなので非常に訳しづらいのは確かですが。

Cyrus Harding42 2012年05月03日(木)21時41分 編集・削除

もうひとつの「ユゴー全集」抄訳だったそうですね。吹っ切れて安心しました。ちなみにこの全集を知ったのは、閉鎖されたジュール・ヴェルヌページ内の情報でしたけど。
ユゴーといって思い出すのは、岩波文庫から一度も「ノートル・ダム・ド・パリ」が翻訳されていないのが不思議に思います。ディズニー映画で原作を改ざんした結末に対して、「これが、本当の作品です」というような感じで原作を出せばよかったのに…と。

ユゴー文学館に手が出せない読者もいらっしゃるかもしれないですからね。

M.G. Eメール 2012年05月28日(月)09時01分 編集・削除

会誌第6号完成とのこと、とても楽しみです。
購読申込み(予約?)をしたいのですが、
頒布価格は 既刊同様 1,000円 でよろしいのでしょうか?

ishibashi 2012年05月28日(月)20時06分 編集・削除

M.G.さま

送料込1100円を当会の郵便振替口座までお振込みいただければ、確認次第お送りいたしますので、よろしくお願いいたします(用紙に6号購入をご記入ください)。

M.G. Eメール 2012年05月28日(月)21時55分 編集・削除

了解いたしました。
ありがとうございます。