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『蒸気で動く家』読書会 ある会員の活動34

投稿の締め切りは10月末で、今回は厳守してほしいと言われていて、遅れると編集の方が正月に作業することになってしまうという、その趣旨には大いに賛同していたのですが、・・・できてません。

全然できてないぞ! うーむ、困った。
ということで読書会報告をするひまなし。と、いうわけにもいかないか。

9月29日(日)に日吉の読書会に行ってきました。参加は8名(正確には+関係者1名)。
今回は、現在刊行準備が進んでいる(はず)の、本邦初の完訳『蒸気で動く家』をとりあげました。明治時代に一部訳されたらしいのですが、本格的な紹介は初めて。その訳稿を参加者だけに配布してもらい、一足早く読書会を行う、しかも訳されたお二方が司会進行というあまりにも贅沢な企画。

実は本国の著名な文学者の中には、この『蒸気で動く家』いち押し、という人も何人かいるらしい隠れた名作。日本で知られてないだけなのか。

刊行されたらぜひ読んでください。最初読むときはあれこれうがって読まず、本筋を追ってノリで読むのがおすすめかも。空想機械はもとより、インド観光から虎に象、変な学者に大陰謀と、ヴェルヌらしさ満点の作品です。

ただ、ちょっと盛り込み過ぎ? あるいは、植民地化された側のインド人が悪役というのは現代では絶対あり得ない設定なので、その辺は議論の的になりました。

レーモン・ルーセルのエピソード、高名な批評家ジャン・イヴ=タディエの作品論の紹介(会誌に翻訳される予定とのこと)、あいかわらず漫才みたいなヴェルヌとエッツェルなど、興味深い話が続出した読書会になりました。
『蒸気で動く家』の副読本として、次回会誌は必読ではないかと思います。

会の後は例によって有志で飲み会。ごく個人的には、日本酒の量が増えているので反省。
雑談の中でちょっとショックだったのは、ちくま文庫『レ・ミゼラブル』最終第五巻は刊行が無期延期状態とのこと。何があったか知らないが、読者無視ではないか。

で、読書会の結果、書いていた原稿を見直すことになり、だいぶはまりこんでいる次第。

そうは言っても、金井美恵子『目白雑録5』にケタケタ笑ったり、工藤庸子『近代ヨーロッパ宗教文化論』にたじろいだり、ユリイカ臨時増刊『小津安二郎』の蓮實重彦におびえたり、いろいろしてはいますが。

そういえば、次の読書会は半年早まって3月。まずいぞ。今の投稿を早く終わらせて、次の準備に入らなければ・・

新刊書「ジャンガダ」

長い間、Amazonの中古本で買おうか、買うまいか悩んでいたら…
新刊書で「ジャンガダ」を見つけてびっくりしました。

http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%80-%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%8C/dp/4892570877/ref=reg_hu-rd_add_1_dp

あの「永遠のアダム」を刊行した(文遊社)からの刊行だそうです。
もちろん、木版画ももれなく掲載。

ヴェルヌ新刊書情報は、今回、私が早かった!!ちょっと嬉しい。
さっそく注文しました。

コラリー号異聞

作家・翻訳家の中田耕治氏が1977年の日記を少し公開していて、その中の5月7日の項に以下の記述あり。同時代の反応として歴史的興味があります。
http://www.varia-vie.com/sunclip/page1.html

 「ユリイカ」特集、「ジュール・ヴェルヌ」を読む。少年時代にヴェルヌを耽読したので、あらためてジュール・ヴェルヌを知ることに興味があった。論文としては、和市保彦の「夢想家ヴェルヌ」にいちばん啓発された。
  従妹のカロリーヌを愛した少年は、珊瑚の頸飾りを手に入れて贈ろうと考える。
  こっそり家をぬけ出したが、そのまま「コラリー号」に乗り込んでしまったというエピソード。家に連れ戻されてから、母に「ぼくはもう空想のなかでしか旅をしないんだ」といったとか。
  和市保彦は、この事件のなかに、後年のヴェルヌの作品の構造をとく鍵があると見る。マルセル・モレは、Coralie が Caroline の、そしてCorail と Collier のアナグラムと見ている。こういう暗合から、和市保彦は、現実の船旅への憧憬があったというより、言葉の暗示への執着、それがもつ謎への挑戦という、より強い感情につき動かされたのではないか、という。
  私が少年時代にヴェルヌに熱中したのは、やはり似たような傾向があったためか、という気がする。私もアナグラムが好きなのだ。千葉に移った当座、新検見川と Hemingway、稲毛と Inge といったアナグラムめいたいたずらを小説に書いたことを思い出す。アナグラムに特殊な関心があって、カザノヴァのアナグラムなどを見ると、どうにかして解いてみようという気になる。

私市先生ご自身はこの「伝説」を日本に広めた責任を感じていらっしゃるようですけど、やはりインパクトがある話には違いないし、それが先生の熱のこもった文章で倍加されたわけで、これはこれでひとつの時代というものでしょう。アナグラムに関する指摘がここでは重要で、それ自体は間違っていないわけですし。

新訳『地底旅行』

『地底旅行』光文社古典新訳文庫版(高野優訳)出ました。

前回の『八十日間』よりはましかなあ、と思いつつレジへ。税込1,379円(・・・)。

家に帰って岩波文庫とリーブル・ド・ポッシュ版を並べて最初の1ページ読んでみましたが、やっぱり相当意訳なのではないですか。

最初のprecipitamment(符号がつきませんが)を「竜巻のような勢い」というのはどうか。若干、気象現象的な意味合いもあるらしいが、リトレを見てもやっぱり、「大急ぎ」以上の意味しかないように思います。マルテの台詞もかなり違う。

ま、誤訳とは言いませんが(分類は嫌味)。自分が仏語できるわけでもないし。翻訳劇で、役者が思い切り台詞をいじってるようなものか、と最大限に好意的解釈をしておきます。しかし、まだ最初の1ページだし。

読書会目前で、今はこれ以上かかずりあってる暇はなし。終わったらもう少しチェックします。

ま、翻訳はともかく。「究極のSF」などと言ってる解説はいらん。SFの知識ゼロで書いてるのが丸わかり。『ジュール・ヴェルヌの世紀』も読んでいない。ヴェルヌが『種の起源』を読んでたはず、という根拠は何処に? あとがきはさらにひどい。リーデンブロックとハンスがドン・キホーテとサンチョ・パンサ? はあ? ドン・キホーテの言うことに黙々としたがうサンチョって何? 炭酸の抜けたコーラ? 
このへん、ざっくりけずって税込1,280円くらいにならんかったものか。
(ああ、また毒を吐いてしまった・・)

遠足報告、リクエストにお応えして

こんばんは。8月29日のナイトズーラシア遠足の、個人的視点によるご報告です。参加人数は大人5名、子供1名の計6名でした。

園内は賑わっていましたが意外なほど暗く、入口で売っている青いライトの光が方々に光っていました。我々も、唯一子供の参加者だったUちゃんの翳す青い光に導かれて園内へ。

真っ先に向かったのはゾウ。かなり広い囲いのなかを悠々と歩いていました。
——『蒸気で動く家』の蒸気機関のゾウはこれより大きいですか?
——大きいと思います。本物のゾウ3頭と力比べするシーンがありますね。
——で、勝ったのは勿論……
——そりゃ、負けちゃったらお話にならないでしょ。
——でもそこ、ちょっと負けてほしかったかも。で、「自然ってすごーい」って。
(どれが誰の台詞だか定かでないです、すみません)

第二の目標はトラ。夜の闇に目を輝かせる勇姿を期待したのですが、物陰でベターっと熟睡中。早寝というより、まだ起きていなかった、ということのようです。

サルの仲間もずいぶんいました。「アカアシドゥクラングール」のように、「モンキー」でなく「ラングール」とつくサルが何種類かいたのですが、この「ラングール」、蒸気で動く家に乗り込んでくる場面があって、「一瞬フィーチャーされる」そうです。

寝ていたトラに引き換え、インドライオンは元気。そう、インドはアフリカ以外で唯一ライオンがいるなんて初めて知りました(ただし激減)。牡ライオンは引っくり返ってお休み中でしたが、牝ライオンは食事中。主な獲物の一つがイノシシだったりするあたりが、アフリカのライオンと違うところでしょうか。私には最大のインパクトでした。

その後、会長が「かっこいい」とお気に入りのバクをUちゃんが「かわいくない」とバッサリ切り捨てる一幕などもありつつ最後はズーラシアの目玉、オカピへ。シマウマの足とキリンの舌を持ったポニー大のかわいい奴でした。

この時点でメンバー全員、相当歩いてます。声も枯れてます(それは、はしゃぎ過ぎた私だけ?)。そこで最後は、園内を突っ切るオカピバスで入口まで送ってもらって閉園ぎりぎりにゴールイン。バスで出された「キリンの角は何本?」のクイズはメンバー誰も正解せず、賞品のシールこそ貰いそこねましたが、楽しい遠足でした。

今回参加した人も参加できなかった人も、またみんなでどこか行きましょう!

※クイズは「3本」「4本」「5本」の三択でした。気になる方は調べてみてください。

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