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新刊から

ワイズ出版映画文庫というシリーズから、「加藤泰映画華」というのが出ました。1995年の単行本を文庫化したものらしいですが、加藤泰監督の全作品を、監督自身のインタビューや関係者の証言で簡潔に紹介しています。
幕田さんが会誌7号で紹介した、「ミシェル・ストロゴフ」原案の「紅顔の密使」も紹介されていました。

結核で療養していたのが回復し、自分で脚本を書いて持ち込んだそうです。幕田さんご紹介のとおり、オープンセットでの壮大な戦闘シーンがあるそうですが、設営・撮影は困難を極め、病み上がりとは思えぬ監督ぶりに「加藤組はしんどい」という評判が定着したとのこと。

監督自身の証言で、元々「皇帝の密使」なんですというのが明記されていますが、その「皇帝の密使」が何なのか一切注釈がないので、ヴェルヌ研としては思わず舌打ちが出るところ。ま、その前に千葉省三についても何もないので・・・

しかし、今日本屋に行って仰天したのはそんなことではなく、「新潮」1月号に蓮實重彦「ボヴァリー夫人論」序章・第一章が掲載されている!

即買いしましたが、いやいや、自由投稿仕上げるまで読めないし。早く仕上げるしかないということか。

執筆中 ある会員の活動35

うーん。

あ、1本目は10月末に投稿しました。
ちょっと読み直してる時間もまだとれてませんが、最後、やはり書き急ぎすぎてしまったかも。

2本目が・・まだ。

まだ5合目くらい。

このままでは年賀状とか大掃除とかいう予定にまで食い込んでしまうぞ。

ま、最近ちと本業が忙しいということもあったのですがね・・

それでも、「思想」12月号ディドロ特集とか読んでみる。先月のプルースト特集もまだちゃんと読んでないけど。なぜ思想で文学を連続で?

一昔前なら、ユリイカとかでやってもよかったのではないかしら。ディドロは無理か。

『ラモーの甥』の取り上げ方少ない。昔はディドロといえば『ラモー』だったような。

甥ラモーとファン・ハウトの対比というのもありでした。

ちょっと、よくあるアホなブログ風になってしまった。

『あまちゃん』シナリオ集にも目を通す。最後の2週を、演出段階で結構いじっていることに気付く。
こういうのちゃんと読んでから、あまちゃん語った方がいいんでないのかね、サブカル評論家たちよ。

Jules Verne News

全世界のヴェルヌ関連ニュースを紹介していたブログ「Jules Verne News」が装いを改め、復活していました。

http://www.scoop.it/t/jules-verne-news

少年少女昭和SF美術館

会員の大橋博之さんの編著『少年少女昭和SF美術館』が平凡社より刊行されました。大判でカラー写真による装丁や挿絵がふんだんに入った、見るだけで楽しい本です。ヴェルヌに関するセクションもあります。コラリー号伝説や例の名言(「誰かによって想像されたことは別の誰かによって実現可能です」)が捏造である疑いが濃いことを書いてくださっているのは大いに歓迎なのですが、『気球に乗って五週間』がナダールの影響という伝説を依然として踏襲されているのは遺憾です。この辺については最近新事実も出てきて、だいぶ明らかになってきていることは会誌でも何度か触れているのですが……。ともあれ、ご購入はヴェルヌ書店(http://www.kurouchi.com/verne/)経由でよろしくお願いいたします。

『八十日間世界一周』展示+小ネタ

夏頃から、この春に新装なった立教大学池袋図書館地下一階の展示スペースで『八十日間世界一周』のささやかな展示が行われ、解説を担当しました(その打ち合わせで近くの江戸川乱歩記念館を案内していただき、一般公開されていない土蔵内の書庫を見せていただいてちょっと興奮しました)。当然、立教関係者しか見られず、僕自身、池袋キャンパスに行く用事があまりないので、つい先日初めて覗きに行ったような次第ですが、解説パネルのPDF版がいつの間にか公開されていました。

http://www.rikkyo.ac.jp/research/library/_asset/pdf/archives/exhibition/80days.pdf

展示内容ですが、目玉は『八十日間』のエッツェル版初版。挿絵なしの通常単行本で地味ながらなかなかのお値段でこの企画のために購入されたもの。僕も初めて手に取りました(今はもちろんガラスケース内です)。それ以外にペリー・フォッグの世界一周記がなぜかもともと所蔵されていたらしく、また、雑誌『世界一周』は全巻貴重書書庫に収められている模様。

さて、予告した小ネタですが、大したことはありません。ブレーズ・サンドラールが子供時代にヴェルヌを愛読し、作品のあちこちに言及があったり、ものによっては発想源になっていたりすることはこれまでも指摘されていました。過日、必要があって『シベリア横断鉄道とフランスの小さなジャンヌ』を読んでおりましたら、旅芸人を襲うヴェルヌの盗賊、というような表現が出てきて、「おっ」と思ったわけです。早速註を見ると、サンドラールとヴェルヌの関係、そして、問題の個所について、『ミシェル・ストロゴフ』と『クローディウス・ボンバルナック』が混同された結果、とあって、「惜しい」と思いました。これだとロシアという舞台にこだわりすぎで、「旅芸人」を襲う盗賊、と言えば、『セザール・カスカベル』の印象的な挿話をまず思うべきでしょう。こんなマイナーな作品まで読んでいたサンドラールにちょっと感動し、『緑の光線』ねたで短編も書いているらしいので、ちょっとヴェルヌとの関係を追いかけてもいいかも、と思いました。実は両者の関係の研究ってほとんど見当たらないのです。kurakataさん、やりませんか?

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