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寒中お見舞い

新年のご挨拶にはすっかり出遅れてしまいました。寒中お見舞い申し上げます。本年も日本ジュール・ヴェルヌ研究会をよろしくお願いいたします。

実際、色々と出遅れておりまして、ようやく今頃今年初めて本屋に行きました(正確にはフランス図書の閉店セールに行きましたが、これはちゃんとリュックを背負って出直さないといけないので数に入れない)。ちくま文庫の新刊を買い込んでしまいましたが、『レ・ミゼラブル』第三巻の「訳者ノート」がいきなり分量を増しているのに一驚、早速読んでみましたら、実に素晴らしい解説でした。ぜひ多くの方にお読みいただきたいと思います。しかし、うちの近所のごとき文化不毛地の新刊書店でも『レ・ミゼラブル』は面陳で最後の一冊でありました。

さらに新年早々個人的にびっくりしたどうでもいいトリヴィアをひとつ。コレットの最初の夫のウィリーって、ゴーティエ=ヴィラールの息子だったんですね! っといっても誰も驚いてくれないと思いますが、〈驚異の旅〉挿絵版の印刷所経営者(出版もしていた)です。かつてこの出版社があった住所の前のセーヌ沿いに、ヴェルヌ専門のブッキニストがあります。

怒れる海

オーデンの『怒れる海』を読んだきっかけはなんだったのか――記憶では、ブルーメンベルクの『難破船』と同じころに読んだ気がするのですが、八木敏雄『「白鯨」解体』で、ピークォッド号が遭遇する船のタイプを分類する個所が紹介されていたからだったかもしれません。こういう小ぶりの名著に対する憧れがあるのですが、個人的にその双璧が金塚貞文の『オナニスムの秩序』と『怒れる海』なのです。この本は、『白鯨』論として読めるのですが、英米の詩の引用の的確さに初読時はうなったものでした。今回必要があって再読してみて、『海底二万里』がなぜか著者名抜きで引用されていたことは覚えていたのですが、最初の方で一、二度、と記憶していたのに、数こそ多くはないものの、実は全編にわたって引用されているのに驚きました。それにつけてもヴェルヌの名が一度も言及されていないのは不思議で、訳者の沢崎順之助も訳注で補ってもよさそうなのにそれもなく、しかも「ネモ大佐」となっていてがっくりします。まさか知らなかったなんてことはないと思うのですが……。もう一つ気になったのは、英米文学以外に引用が多いのはフランス文学なのですが、ボードレールとランボーばかり、マラルメ少々、はいいとして、なぜユゴーの引用が一箇所もないのか、ヒーローを論じながらなぜモンテ=クリスト伯に言及がないのか、後者はともかく、前者はいくらなんでも偏頗ではあるまいか、と(これは遅まきのユゴー読者の感想とはいえ)思えてなりませんでした。「ロマン主義の海のイメージ」と題しながらユゴーに一言もないのは、オーデンだからこそ許される、ともいえるのですが、なにか理由があるのでしょうか……

気になる番組

きょうの朝日新聞のテレビ番組欄を見ていた時でした。

NHK-BSプレミアム「ワイルド・ライフ選」(夜8:00~9:00)
「ノルウェー北極圏の海圧巻!世界最速の渦潮…」

 この番組をさっそくブルーレイ機器に予約した後で書き込みをしています。きっと、メールストロームだろうな、ユーチューブとは違った美しい映像で見せてくれるかもなと、期待しています。

 3,4年前だったか、インターネットでノルウェー観光施設が出しているホームページで「メールストローム」について質問したことがありました。「調べてみます」と返事をもらってから、ユーチューブに映像が流れた次第です。

 前にも「ワイルドライフ」で放送していたらしいのですが、うっかり見逃してしまったので「ワイルドライフ選」で再度取り上げてくれたのはうれしいものがあります。

 実際のメールストロームは大したことがない、と分かっていても長い間、スケールの大きな大渦巻をイメージしていたので、完全に拭い去れないものがあります。もしかしたら、干潮か満潮の際に小さな渦潮が集まってきて巨大化するのでは…と子供ぽい発送をしています。

ポオは周辺に架空の島々を出していますが、実際モスケン島だけ実在していますので、気になるところです。ユーチューブで流れている映像はどうも内陸の橋の下らしいので、心のどこかで夢を捨てきれないのかもしれませんね。

ヴィクトル・ユゴー関連

 2012年12月公開の超話題作「レ・ミゼラブル」にヤキモキしているこの頃です。なんでも、「レ・ミゼラブル」原作は刊行されてから150周年ということで、いままでブロードウェーミュージカルとして親しまれていた作品をベースにしたスケールの大きな映画らしい。
 以前、私の書き込みのコメント欄に、ishibashiさんは映画「笑う男」を紹介されていましたね。なんとなく気になって、ユゴーで検索してみたら、もう一つの映画「笑う男」が2012年、製作中!?
 いつ公開されるのか分からないし、日本公開時期も未定だとか。

http://eiga.com/movie/64748/

URLで紹介したページは最初にヒットしたサイト。かなり前に大まかなストーリーを掴んでいました。なんでも、貴族の息子が幼児期に、一生笑わせてやるとナイフで口を裂くという恐ろしいエピソードを掴んでいました。なるほど、「バットマン」のジョーカーの設定はここから使ったのか…そう思うとなおさら観たくなります。

 ユゴーは怪奇趣味があるのは知っていましたし、彼はまた生涯「良心」をテーマにした作品を貫いているので、恐ろしいのは冒頭だけで、後はきっと人間らしく生きてゆくストーリーなんだろうな…と勝手な推測をしています。

ブロードウェーミュージカル「レ・ミゼラブル」が長い間話題になっていたのに、ユゴーファンの私には海外にも行ったことがないばかりか、ブロードウェーという富裕層の居場所に場違いな自分を想像してはひがんでいました。

そんな時、2012年12月公開映画「レ・ミゼラブル」の近日公開映像を一ヵ月前に観て興奮しまくっていました。また、映画「笑う男」の公開時期が気になりますね。鹿児島でも公開されるのか不明だから、心配です。
「笑う男」の小説も刊行されたらどんなに嬉しいか…。「クロード・グー」も未訳だし。

それから、ishibashiさんに一言。本日の昼頃にメールでパスワードを受け付けなくなった…と送信していましいたが、デスクトップ画面にメモ機能で書いていたのを忘れていました。パソコン画面、目の前に貼り付けていたのに赤面の至りです。

東京骨灰紀行

ちくま文庫今月の新刊、キース・ロバーツ『パヴァーヌ』の復刊に気を取られていて小沢信男『東京骨灰紀行』に気付かず、書店で不意打ちをくらって思わずのけぞってしまった。
この機を逃してはいけない。迷わず買う。

莫言は単行本も文庫ももう見当たらない。どこかのフェアに回されたか。

聞いたこともなかった人がほとんどだと思うのだけど。
某所でどっかのおじさんが、「日本が負けてくやしい。特に中国に負けたのが気に入らない」と言っていて具合が悪くなりそうになる。いつから国別対抗戦になったんだよ。まあ、それがノーベル賞というものの限界なのか。ムラカミ君が今後とれる可能性は低いと思うけど。

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