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2014年   ある会員の活動37

あらためまして、あけましておめでとうございます。

まさかのスパム投稿から始まった本年の当ブログですが、気を取り直していきましょう。

活動報告としましては、年末年始も読書会の校正、投稿の手直しが続いております。編集担当の方には頭が下がります。

今のスケジュールだと、どうしても年末年始になってしまう、ということで、今年は読書会を3月に繰り上げ、会誌の発行時期そのものを見直すという大きな試みがあります。

なので、もう今から読書会の準備。いよいよ後期、晩期の作品を取り上げる予定です。今のところ、既訳の文庫を読み返している段階。

私の好きなSF作家、スタニスワフ・レムは、代表作「ソラリス」を結末が分からないまま書き進めた、と述べる一方で、その後は、後になればなるほど、戦略的に書くようになった、と言っています。全体の見取り図を決めて、細部を詰める、というような意味でしょう。

作家というものは自然そうなるのかも知れませんが、ヴェルヌも後期になるほどそうした傾向が見えるように思います。逆に言うと、筆が走ってるような感じが全然ない(笑)。

よく、第一作にその作家の全てがあるなどという言い方をしますが、直感的に書いた中に、無意識のモチーフが原型的に出ている、ということなのではないでしょうか。(「ソラリス」は長編第五作ですが)

年末にTVで松任谷由実が、今のライバルは初期の自分だ、と言っていましたが、若い感性で書いたことを理性で反復するのはものすごく難しい。ベルクソンやデリダも、直感とは単純なものではないと言っております。

(もっとも、若くして亡くなった友への挽歌であったはずの「ひこうき雲」が、いつのまにやら飛行機乗り賛歌になってしまうのは、その曲の弱さではないか。最近の曲にはそうした弱さはないと思う)

続編・後期作品好きの私としては、レムの晩年の作品とか好きなのですが、世の中はやっぱり「ソラリス」が好きのようです。後期ヴェルヌ作品の魅力を発見していくのが、これからの課題であり、楽しみとも言えるでしょう。

ところで、藤原編集室の近刊予定表を見ていると、国書刊行会のレム・コレクション「変身病棟・挑発」が予定から消えてしまっている! どうしたのだ!
沼野充義はハルキなんぞにうつつを抜かしてないで、早く訳してくれ!

今年はなるべく本を買わない、むしろ整理する、という目標があるのですが、ヴェルヌの新刊、ナボコフ「アーダ」の新訳(たぶん若島正)、ピンチョン「重力の虹」新訳(佐藤良明)、蓮實重彦「ボヴァリー夫人論」が出たらこれは無条件に買うしかない。藤原編集室のラインナップを見ていると、マイリンク「ゴーレム」やウォー「ピンフォールドの試練」も出るらしい。どうしようか。

「ピンフォールドの試練」は集英社世界の文学から落としたものか。そうすると、ビュトール「段階」とか、ブロッホ「ウェルギリウスの死」とかもそろそろ・・無理か(笑)

ま、極力買わない方針で行きます。とほほ。