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グランヴィルの豆本ができました(続き)

このブログはひとつのエントリにつき画像が5枚までのようなので、二回に分けて投稿することになりました。先のエントリの続きです。

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実はこの本の一番のウリはこのように丸背になっていること。色々と工夫を凝らし、たったの28ページしかない本を丸背にしてみせました(前後の白紙ページを含めても36ページです)。お陰で豆本の大先生からも大絶賛を頂きました。分かる人には分かる無駄にマニアックな仕様です。

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天小口から見るとこのような感じ。写真だけではラフな感じに見えますが、背幅と糸の太さとモコモコした本文紙の嵩(厚さではなく嵩です)の計算の妙により、何度開閉してもしっかりと形が保たれる本になっています。

ちなみにこの本は文学フリマ等のイベントにて展示・販売していますので、ご興味のある方には実際にお手に取ってご覧いただけますと幸いです。書店委託も検討中でして、詳細が決まりましたらお知らせしたいと思います。しかしまあそれにしても、もっと本の内容について説明するべきなのでしょうが上手く書けないんですよね、まったくもって申し訳ありません。ちなみにこの本の著者スタールとは編集者エッツェル自身ですから、ヴェルヌファンの皆様にもネタ的に持っていると楽しいといいますか、コレクターズアイテムになりうるのではないかと期待しているところです。……実は、巻末にはナダールが描いたエッツェルの似顔絵を収録しており、内容的にもこれまた、変なところで無駄にマニアックな豆本になってしまいました。

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そしてなんと。中身を撮影する際にいちいち自分の手で押さえるのは億劫に感じてしまい、このような物騒な香りのする書見台まで作ってしまいました。これも各種イベントで展示予定です(非売品)。

グランヴィルの豆本ができました

お久しぶりです、黒内です。私も長い間放置してしまって申し訳ありませんでした。しかしながら、忘れていたわけではありません。諸事情により『月を回って』の製本作業は中断していますが、その間、色々なことを試して自分の可能性をさぐっていました。その成果として、とりあえず以下のようなものが仕上がりましたのでご覧に入れます。

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『ある蚕に捧げる弔辞』
J・J・グランヴィル 画
P=J・スタール 文

エッツェルが出版したグランヴィルの挿絵本『動物の私的公的生活情景』の集録作から一番短いものを石橋さんに翻訳してもらい、A7サイズ(文庫本の半分ほどの大きさ)布装ハードカバーの上製本に仕立てました。

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中扉。

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本文。

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もちろん糸綴じです。実は本のサイズにちょっとアンバランスなこの太い麻糸がポイントなんです。ここでは詳しく説明いたしませんが、紙と印刷方法にもこだわっていて、伝統的な本のスタイルから決してはみ出すことなく、それでいて独特な雰囲気の味わえる造本になりました。(つづく)