お久しぶりです、黒内です。私も長い間放置してしまって申し訳ありませんでした。しかしながら、忘れていたわけではありません。諸事情により『月を回って』の製本作業は中断していますが、その間、色々なことを試して自分の可能性をさぐっていました。その成果として、とりあえず以下のようなものが仕上がりましたのでご覧に入れます。
『ある蚕に捧げる弔辞』
J・J・グランヴィル 画
P=J・スタール 文
エッツェルが出版したグランヴィルの挿絵本『動物の私的公的生活情景』の集録作から一番短いものを石橋さんに翻訳してもらい、A7サイズ(文庫本の半分ほどの大きさ)布装ハードカバーの上製本に仕立てました。
もちろん糸綴じです。実は本のサイズにちょっとアンバランスなこの太い麻糸がポイントなんです。ここでは詳しく説明いたしませんが、紙と印刷方法にもこだわっていて、伝統的な本のスタイルから決してはみ出すことなく、それでいて独特な雰囲気の味わえる造本になりました。(つづく)