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会員の皆さんの最近のご活躍

当会前会長の新島進さんがジャック・ボドゥ『SF文学』(白水社、文庫クセジュ)を上梓されました。極めてコンパクトにSFの歴史をまとめていて簡便な一冊です。もちろんヴェルヌにも一節割かれています。巽孝之氏の帯文にいわく「今日望みうる最良のSF入門書」。

また、これは自分自身のことなので恐縮ですが、ボケル&ケルン『罵倒文学史――19世紀フランス作家の噂の真相』が先月に拙訳で東洋書林より刊行されました。このインパクトのあるタイトルは編集者の方のアイデアの勝利ですが、内容は罵倒のアンソロジーというよりは、文壇ゴシップを「憎悪」というフィルターにかけて19世紀の「文学場」を描きだすといった趣向の読み物です。したがってヴェルヌは登場しますが、ほとんどついでです。改めてヴェルヌがこの当時いかに文学的にマージナルな存在だったかがよくわかりますし、裏を返せば、本当はこういう世界に行きたかったのか、ということが理解できるようになっています。ちょっとお値段は張りますが、作家たちの似顔絵も入って、話のタネにはなるかと思います。