記事一覧

会員の皆さんの最近のご活躍

当会顧問の私市保彦先生が責任編集した「バルザック芸術/狂気小説選集」がこのほど、私市先生が訳された『絶対の探求』を収録した第四巻をもってめでたく完結しました。「バルザック幻想・怪奇小説選集」に続く長丁場のお仕事でしたので、さぞかしほっとしておられるのではないでしょうか。個人的には、今回の第四巻の(大変読み応えがある)解説の中で「カニアール=ラトゥール」が人工ダイヤの製造に成功した人物として引き合いに出されているのが目を引きました。この人、『征服者ロビュール』の第六章にちらっと出てくるのですが(もちろん「空気より重い」派として)、この前後、誤訳だらけです。この小説も新訳をそろそろ出すべき時期が来ているのかも……

また、当会会員の中村健太郎さんが編集者として獅子奮迅なさった国書刊行会のバンド・デシネ(=フレンチコミック)コレクション全三巻が年明けでとりあえず(?)完結。第一巻の『イビクス』には、当会特別会員の小野耕世先生も帯文を寄せておられます。このシリーズ、なぜかテーマ的に心ひかれるセレクションで、第一巻の『イビクス』はアレクセイ・トルストイというだけで嬉しくなり(全然読んでいないのだが)、ロシア革命の混乱をひたすら逃げる話も嬉しく、そして、第二巻『ひとりぼっち』は、50年間辞書だけを友に燈台に幽閉された男、なんて、まるでヴェルヌ風ヌーヴォ・ロマンみたい(これだけひとまず目を通しましたが、よかったです)。年明け待機の第三巻は、戦争の中の日常、ということで、大西巨人『神聖喜劇』と比較して読みたいなと思っているところです。

コメント一覧