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続ヴェルヌと関係ない話

今年の初めの投稿で紹介したブログ「本はねころんで」では、このところずっと小沢信男の著作の紹介をしてくださっていて、小沢初心者には大変有難く毎日楽しみに読んでいるところです。なにが有難いといって、山田稔もそうなのですが、再刊で収録作が変わったりするので、定本を買えばいいのだろうと安心してもいられないため、各単行本の収録作を知ることができる点なんですね。まあもちろん僕みたいに出遅れて読み始めた者は、とりあえず目に付いて面白そうなものを価格との相談で少しずつ揃えていきながら学んでいって、最終的には全部入手することになるにせよ、その過程が楽しいわけですが、ちょうどブログの連載がそれに寄り添ってくれている感じなのです。個人的になかなかタイムリーなのですが、ちょうど京都の「編集グループ〈SURE〉」という出版社が小沢信男の新刊を出すという情報がちょっと前に紹介されていたのもこちらとしては絶妙のタイミングで、基本直接注文のようなので早速代金を振り込んだところ、四月上旬刊行予定で予約受付ということだったのに、なんと早くも今日届くという、この打てば響く嬉しさ。おまけに代表の方の自筆一筆箋入りと、まことに心憎い限り。で、そのタイトルがまたふるっています。『小沢信男さん、あなたはどうやって食ってきましたか』。いやいや、力が抜けていますねえ。稿料がない『新日本文学』系の作家というのはどうやって食ってきたのかとは誰しもが素朴に思うところであって、食えるわけがないと思う頭の固い人たちの下司の勘繰りを招いたりもするわけですが、本当に「種明かし」されていて、これが実に面白い。いやもう、すでに最近読んだ何冊かですっかりファンになっていたのですが(『いま昔東京逍遥』『あの人と歩く東京』『悲願千人斬の女』)、とどめを刺されました。

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