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脱稿  ある会員の活動26

前回はオバマ大統領の再選の中、会員活動報告をしていたのであったが、1ヵ月半で世の中また大きく変わってしまったらしい。

勘三郎が亡くなるとは思ってもみなかった。北朝鮮のミサイルが成功するとも思っていなかった。松井秀喜が引退するなどとは思ってもみなかった。

自公があれほど議席を獲得するとは思ってもみなかったが、これは同じことの繰り返しになりそうな気がしないでもない。

まあ、そんなこと言ったらマナカナのカナが結婚するとも、『読むことのアレゴリー』が完訳されるとも思っていなかったのだから、言いだせばきりがない。

ところで、去る23日に脱稿し、編集長に送付した。

今回は苦しかった。これほど難渋したのも珍しい。よく考えてみると、どうもテーマが大き過ぎたのではないかと思う。まず、まるで言葉が出てこない。これまではなんだかんだと適当なところから切り口が出てきたのだが、どうもとっつきがない。

ようやく少しずつ書き溜めていったものが、今度はまるでつながりを欠き、散漫もいいところになってしまった。ま、まとまらない・・・!

もう少し絞り込めばよかった、ほんとうに書きたいことほどうまくいかないのをヴェルヌの法則とでも名付けようか、などとぶつくさ言いながら、最後は何とか言葉をつないでいくのが精一杯であった。

惨憺たるものだ。(これは山田風太郎『妖説太閤記』)

で、やっと送った(書き上げた、という表現は、今回実感がない)はいいが、そういうタイミングで好著が出る。ベアント・ブルンナー『月』(白水社)はフィクションと現実の双方で月にまつわるエピソードを紹介していて、ヴェルヌ『月世界旅行』も出てくる。やや不正確なところも見受けられるが、NASAやSFなど、私の原稿に関連のあることがコンパクトに出てきている。

ちくま学芸文庫からは福井直樹『自然科学としての言語学』が出た。生成文法のいわゆる離散無限性という概念が、私の原稿で言いたいことに深く関わっていることに最近気付いたが、ま、もう遅い。組み込むのはあきらめた。

2012年ももう終わる。年が明けたらもう震災から2年近くなる。しかし、来年は『気球に乗って五週間』刊行150周年なのである。今後、ほぼ毎年のように刊行150周年が40年ほど続くことになる。

ちなみに、『グラント船長の子どもたち』刊行150周年(2018年)はちょうど明治維新から150年であり、私事ながら私は50歳である。

さて、年の最後に何を読もうか。と言いつつ、ちくま文庫新訳の『レ・ミゼラブル』第二巻、ワーテルローを読んだところ。

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