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プルースト、美術批評と横断線

会員の荒原邦博さん(インスクリプトより近刊の『蒸気で動く家』の共訳者です)の単著『プルースト、美術批評と横断線』が刊行されました。書店に並ぶのは年明けになります。拙著『〈驚異の旅〉または出版をめぐる冒険』と同じ左右社の叢書「流動する人文学」の最新刊です。「人文学」といいつつ、文学、それもフランス文学研究に偏っている本叢書ですが、清岡秀哉さんの装丁がなんといっても売りであり、それぞれの著作の個性を表現しつつ、一貫した雰囲気を叢書にもたらしています。装丁のことばかり言ってしまいましたが(博論が元になった力作なのでまだ拾い読みしかできておりません)、ぱらぱら見るだけでも興味深いトピックが並び(『奇岩城』がさりげなく論じられていたりします)、冒頭にはなんと三十八ページにおよぶカラー口絵で『失われた時を求めて』関連の美術作品の写真が並び、壮観です。それだけにお値段は高めですが、拙著ともどもよろしくお願いいたします。

というわけで、今年もまもなく終わろうとしておりますが、本ブログをご覧の皆さまにはおかれましてはなにとぞよいお年を、そして来年も引き続きよろしくお願いいたします。

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sansin 2014年01月11日(土)22時54分 編集・削除

年も明けまして、今日届きました。これでも一週間早まったとamazonはのたまう。

うーん、ドゥルーズもベンヤミンも勉強不足、参照しながら読み進めるしかないですね。しかし確かに、口絵だけでも引き込まれます。

その前に「一般言語学の諸問題」第二巻をざっと見たところ、(要は私が当時の全般状況をまだよく分かってないのですが)、バンヴェニストによればソシュールは1878年にはパリで教鞭をとっていて(若干24歳)、91年にはスイスに帰ってしまう。荒原さんによればその91年にはプルーストは美術批評を筆名で書き始めている、ということになります。
ヴァレリーがジッドと知り合ったのは90年とか。

ヴェルヌはそのころに「カルパチアの城」を書いていたわけで、いやはや、この状況をどう受け止めればよいやら。

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